産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)で定められた20種類の廃棄物のことです(法第2条第4項、施行令第2条)。

重要なのは、「会社から出たごみ=産業廃棄物」ではないことです。同じ事業所から出るごみでも、品目ごとに「産業廃棄物」「事業系一般廃棄物」に分かれ、さらに一部の品目は排出した業種によって扱いが変わります。この見極めが、分別・委託・マニフェストすべての出発点になります。

まず全体像:廃棄物は4つに分かれる

分類内容処理責任委託先の許可
産業廃棄物事業活動由来で法定20種類排出事業者都道府県等の産廃許可業者
特別管理産業廃棄物産廃のうち爆発性・毒性・感染性など排出事業者(より厳格)特管の許可業者
事業系一般廃棄物事業活動由来だが20種類以外市町村市町村の一廃許可業者
家庭系一般廃棄物家庭から出るごみ市町村市町村

産廃と事業系一般廃棄物は許可制度が別です。委託先が「産廃の許可」を持っていても「一廃の許可」は別に必要で、逆もまた同じ。事業系一般廃棄物の詳しい仕分けもあわせてご確認ください。

このごみは産廃か? 判定の4ステップ

  1. 事業活動に伴って生じたか … 家庭ごみは対象外。事業由来であることが前提。
  2. 20種類のどれかに該当するか … 下の一覧で品目を特定する。
  3. 業種指定品目(下記7種)なら、自社の業種が対象業種か … 対象外の業種から出たものは事業系一般廃棄物になる。
  4. 有価物として売却できるか … 他人に有償で買い取られ、輸送費を差し引いても売り手にプラスなら「有価物」で、廃棄物処理法の対象外。逆有償(処理費のほうが高い)は廃棄物として扱う(総合判断説)。

産業廃棄物20種類の一覧と具体例

あらゆる業種で産業廃棄物になるもの(12品目)

品目具体例
燃え殻焼却炉の残灰、石炭がら
汚泥排水処理・製造工程で生じる泥状物(排出量No.1品目)
廃油潤滑油・切削油・洗浄油、動植物性の廃食用油
廃酸酸性の廃液(写真定着廃液、めっき廃液など)
廃アルカリアルカリ性の廃液(アルカリ洗浄液など)
廃プラスチック類廃ビニール、合成樹脂くず、発泡スチロール、廃タイヤ
ゴムくず天然ゴムくず(合成ゴムは廃プラ扱い)
金属くず鉄・非鉄の切削くず、スクラップ、空き缶
ガラス・コンクリート・陶磁器くず板ガラス、タイル、レンガ、石膏ボード
鉱さい高炉・電炉のスラグ、鋳物砂
がれき類工作物の解体で出るコンクリート片・アスファルト片
ばいじん集じん装置で捕集したばいじん(ダスト)

特定の業種から出た場合のみ産業廃棄物になるもの(7品目)

「業種指定品目」と呼ばれ、対象業種以外から出た同じ品目は事業系一般廃棄物になります。ここが実務で最も間違えやすい部分です。

品目産業廃棄物になる対象業種
紙くず建設業(工作物の新築・改築・除去に伴うもの)、パルプ・紙・紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業(+PCBが塗布・染込みのものは全業種)
木くず建設業(同上)、木材・木製品製造業(家具製造を含む)、パルプ製造業、輸入木材卸売業、物品賃貸業(+貨物の流通に使う木製パレットは全業種
繊維くず建設業(同上)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)
動植物性残さ食料品製造業・医薬品製造業・香料製造業で原料として使った動植物に係る固形状の不要物
動物系固形不要物と畜場・食鳥処理場で処理した獣畜・食鳥に係る固形状の不要物
動物のふん尿畜産農業
動物の死体畜産農業

このほか、上記19品目を処分するために処理した物でいずれにも当たらないもの(いわゆる13号廃棄物:コンクリート固型化物など)を加えて「20種類」と呼びます。品目ごとの処分方法は品目別ガイドで解説しています。

現場で間違いやすい品目

ごみ正しい区分間違えやすい理由
オフィスの紙くず事業系一般廃棄物「会社のごみ=産廃」と思い込みがち。紙くずは業種指定品目
木製パレット産業廃棄物(木くず)木くずは業種指定だが、流通用パレットは業種を問わず産廃
蛍光灯産業廃棄物(ガラス・金属くず等)水銀使用製品産業廃棄物として扱いに注意
廃バッテリー産業廃棄物(廃酸・金属くず等)液漏れ・発火リスク。リチウム電池は特に注意
石膏ボード産業廃棄物(ガラス陶磁器くず等)安定型処分場に埋立不可の要注意品目
社員食堂の生ごみ事業系一般廃棄物食料品「製造業」の残さは産廃だが、食堂の残飯は一廃

一般廃棄物との違い

比較項目産業廃棄物一般廃棄物
処理責任排出事業者市町村
委託先都道府県等の産廃許可業者市町村または一廃許可業者
マニフェスト交付義務あり原則不要
委託契約書書面契約が義務(2者契約)法定義務なし(自治体ルール)
根拠法第11条・第12条ほか法第6条の2ほか

最大の違いは処理責任の所在です。産業廃棄物は「出した者が最後まで責任を負う」仕組みで、委託先が不法投棄をした場合でも、委託方法や確認に問題があれば排出事業者が措置命令を受けることがあります。

排出事業者責任とは

事業者は「その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」とされています(法第3条・第11条)。実務上の主な義務は次の4つです。

  1. 保管保管基準(囲い・掲示板・飛散流出防止)に従う
  2. 委託基準:許可業者と書面で委託契約を結ぶ(許可証の確認を含む)
  3. マニフェスト交付・照合・保存で最後まで追跡する
  4. 処理状況の確認:委託後も適正処理を確認する(実地確認

なお建設工事に伴って生じる廃棄物は、下請ではなく原則として元請業者が排出事業者になります(法第21条の3)。建設業の担当者はこの特例を必ず押さえてください。

特別管理産業廃棄物の判定基準

次のように、危険性が判定基準を超えるものは特別管理産業廃棄物になり、通常より厳しい基準が適用され、事業場には特別管理産業廃棄物管理責任者の設置義務が生じます(法第12条の2)。

  • 引火性廃油:引火点70℃未満の廃油
  • 強酸:pH2.0以下の廃酸/強アルカリ:pH12.5以上の廃アルカリ
  • 感染性産業廃棄物:医療機関等から出る血液の付着した器具・注射針など
  • 廃PCB等・PCB汚染物・PCB処理物
  • 廃石綿等:飛散性アスベスト(吹付け石綿、石綿保温材など)
  • 特定有害産業廃棄物:燃え殻・ばいじん・汚泥・廃酸・廃アルカリなどで、水銀・カドミウム・鉛等の有害物質が基準を超えるもの

詳しくは特別管理産業廃棄物とはをご覧ください。

まとめ:担当者が最初にやること

  1. 自社から出る廃棄物を品目ごとにリスト化し、上の一覧で20種類のどれか/業種指定の対象か/事業系一般かを仕分ける
  2. 産業廃棄物は委託契約書マニフェストの運用が法令どおりか確認する
  3. 判断に迷う品目は自己判断せず、管轄の都道府県・政令市に確認する

次のステップは産業廃棄物処理の流れで、排出から最終処分までの全体像をつかむことです。


参照法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第2条・第3条・第11条・第12条・第12条の2・第21条の3、同法施行令 第2条・第2条の4(最終確認:2026-08-01)

よくある質問

産業廃棄物と一般廃棄物の一番大きな違いは何ですか?

処理責任の所在です。産業廃棄物は排出した事業者自身に処理責任があり、許可業者への委託とマニフェストによる管理が必要です。一般廃棄物の処理責任は市町村にあります。

会社から出るごみはすべて産業廃棄物ですか?

いいえ。事業活動に伴うごみのうち、法令で定められた20種類だけが産業廃棄物です。紙くず・木くず・繊維くずなどは業種によって産業廃棄物になったり事業系一般廃棄物になったりします。それ以外(オフィスの生ごみ等)は事業系一般廃棄物として市町村のルールに従います。

オフィスから出る紙くずは産業廃棄物ですか?

多くの場合いいえ、です。紙くずが産業廃棄物になるのは建設業(工作物の新築・改築・除去)、パルプ・紙・紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業など特定の業種から出た場合に限られます。一般的なオフィスの紙くずは事業系一般廃棄物です(ただしPCBが染み込んだ紙くずは業種を問わず産廃)。

産業廃棄物かどうか判断に迷ったらどうすればよいですか?

まず「事業活動由来か」「20種類のどれに当たるか」「業種指定品目なら自社の業種が対象か」「有価物として売れるか」を順に確認します。それでも判断できない場合は、管轄の都道府県・政令市の産業廃棄物担当課に問い合わせるのが確実です。品目の該当性は自治体が個別に判断します。

この記事の情報について

編集部確認済み/専門家監修は準備中 適用地域:全国
執筆
SANPAI ONE 編集部
監修
未実施(専門家監修は準備中です)
公開日
2026-07-11
最終確認日
2026-08-01
次回確認予定
2027-02-01(最終確認から6か月後の目安)
適用地域
全国

一次情報の確認先(公的機関・業界団体)

本文中で参照している法令・統計の出典は、該当箇所に併記しています。条文・数値は必ず一次情報でご確認ください。

本記事は上記の最終確認日時点の法令・公開情報にもとづく一般的な解説です。法令・許可・処理施設の情報は変更される場合があり、自治体ごとに運用が異なることもあります。個別の判断は管轄の都道府県・政令市、または専門家(行政書士・弁護士等)にご確認ください。

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