産業廃棄物を処理までの間、自社で保管するときは、廃棄物処理法の「保管基準」を守る必要があります(法第12条第2項)。ポイントは次の5つです。

  1. 周囲に囲いを設ける
  2. 見やすい場所に掲示板(縦横60cm以上)を設置する
  3. 飛散・流出・地下浸透・悪臭発散を防止する
  4. ねずみ・蚊・はえ等の発生を防ぐ
  5. 屋外で容器を使わず保管する場合は高さ制限を守る

保管基準違反そのものに直接の罰則はありませんが、改善命令や措置命令の対象になり、放置すれば不適正処理として扱われます。立入検査で最初に見られるのも保管場所です。

掲示板の書き方

掲示板は縦横それぞれ60cm以上で、次の事項を記載します。

記載事項記入例
産業廃棄物の保管場所である旨「産業廃棄物保管場所」
保管する廃棄物の種類廃プラスチック類、金属くず
保管場所の管理者の氏名または名称株式会社〇〇 総務部 環境担当
連絡先053-XXX-XXXX
(屋外・容器なし保管の場合)最大保管高さ高さ〇m

石綿含有産業廃棄物を保管する場合はその旨も記載し、他の廃棄物と混ざらないよう仕切りを設ける必要があります。

囲いのルール

  • 保管場所の周囲に囲いを設ける(フェンス、壁、ブロックなど)
  • 廃棄物が囲いに接触する場合は、囲いに荷重がかかる前提の構造にする
  • 屋内保管であれば、建屋の壁を囲いとして扱えます

屋外保管の高さ制限

屋外で容器を使わずに保管する場合、崩落防止のため高さ制限があります。

  • 囲いの内側に直接接して保管する場合:囲いの高さより50cm下まで
  • 囲いから離れた場所:囲いの下端から勾配50%(約27度)の線を超えない高さまで

フレコンバッグの多段積みなども、この考え方に沿って安全に積む必要があります。

飛散・流出・浸透・悪臭の防止

  • 粉じん系(ばいじん、汚泥の乾燥物など):シート掛け・容器保管で飛散防止
  • 液状・泥状(廃油、汚泥など):床面の不浸透化(コンクリート等)と流出防止堤
  • 悪臭が出るもの(動植物性残さなど):容器密閉、保管期間の最短化
  • 廃油や有害物を含むものは、雨水がかからない屋根付き保管が実務の基本

特別管理産業廃棄物の保管

特管産廃は上記に加えて、他の物と混合しないよう仕切りを設ける、品目に応じた上乗せ基準(廃油の揮発防止、感染性廃棄物の密閉容器など)が適用されます。詳しくは特別管理産業廃棄物の解説をご覧ください。

実務チェックリスト

  1. 保管場所に囲いと60cm角以上の掲示板があるか
  2. 掲示板の品目が実際に保管している物と一致しているか(品目が増えたのに更新漏れ、が定番の指摘)
  3. 液状物の下に受け皿・防液堤があるか
  4. シート掛け・容器の破れや劣化がないか
  5. 保管量が処理計画に見合った量に収まっているか

保管の次のステップ(業者選定・契約・マニフェスト)は処理の流れをご覧ください。


参照法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条第2項、同法施行規則 第8条(産業廃棄物保管基準)

よくある質問

掲示板は市販のものでよいですか?

構いません。縦横60cm以上で、廃棄物の種類・管理者の氏名または名称・連絡先などの必要事項が記載されていれば、市販の産業廃棄物保管場所表示板で問題ありません。

保管期間に法律上の上限はありますか?

一律の日数制限はありませんが、「適正な処理までの間の保管」が前提です。処理の予定がないまま大量に保管し続けると、保管ではなく不適正処理(不法投棄・野積み)と判断されるおそれがあります。

建設現場の廃棄物を現場内に置いておく場合も保管基準の対象ですか?

対象です。工事現場での一時的な保管にも保管基準が適用されます。また、現場から離れた場所(事業場外)で300㎡以上の保管を行う場合は、事前の届出が必要です。

本記事は2026-07-12時点の法令・公開情報にもとづく一般的な解説です。個別の判断は、管轄の都道府県・政令市または専門家(行政書士・弁護士等)にご確認ください。