廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)は、「ごみを出した者が最後まで責任を負う」ことを軸に、廃棄物の分類・処理・委託・許可・罰則までを一体で定めた法律です。

条文は膨大ですが、排出事業者の実務に関係する部分は限られています。この記事では、担当者が押さえるべき10のポイントに絞って解説します。

法律の全体構造

領域内容主な条文
定義・分類廃棄物とは何か、産業廃棄物20種類の指定第2条
責任の所在事業者の処理責任(排出事業者責任)第3条・第11条
処理・保管の基準収集運搬・処分・保管の方法第12条
委託のルール委託基準(許可業者・書面契約)第12条第5〜7項
マニフェスト産業廃棄物管理票制度第12条の3〜5
処理業の許可収集運搬業・処分業の許可制度第14条
処理施設の許可焼却炉・最終処分場等の設置許可第15条
行政処分改善命令・措置命令第19条の3〜6
罰則不法投棄・無許可営業等への刑事罰第25条〜第34条

排出事業者が押さえるべき10のポイント

1. 「廃棄物」かどうかは総合判断

売れる物は廃棄物ではありませんが、判断は取引価値の有無だけでなく、性状・排出状況・通常の取扱い形態・占有者の意思を含めた総合判断で行われます(詳細は金属くずと有価物の境界)。

2. 産業廃棄物は20種類だけ

事業活動由来でも、法定の20種類に該当しないものは事業系一般廃棄物です。ここを間違えるとその後の処理がすべて狂います。

3. 処理責任は最後まで排出事業者にある

委託しても責任は移りません(排出事業者責任)。廃棄物処理法の最重要原則です。

4. 保管には基準がある

囲い・掲示板(60cm角以上)・飛散流出防止(保管基準)。立入検査で最初に見られるポイントです。

5. 委託は「許可業者」と「書面契約」が絶対条件

無許可業者への委託は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金。契約は法定記載事項を満たす書面で。

6. マニフェストで処理を最後まで追跡する

交付・照合(B2/D票90日・E票180日)・5年保存・年次報告(マニフェスト制度)。

7. 許可には「品目」と「区域」がある

「許可を持っている」ではなく「この委託内容が許可の範囲内か」を確認します(許可番号の調べ方)。

8. 建設工事は元請が排出事業者

下請けが出したごみでも、契約・マニフェストの義務は元請にあります(法第21条の3)。

9. 違反すると措置命令・企業名公表もある

不法投棄に関与すれば原状回復費用の負担も。罰金額より事業への打撃のほうがはるかに大きいのが実態です(罰則一覧)。

10. 特別管理産業廃棄物は上乗せ規制

引火性廃油・強酸強アルカリ・感染性などは別許可・厳格基準(特管の解説)。

実務への落とし込み方

法律の条文を暗記する必要はありません。実務は次の3つの型に集約されます。

  1. 出す前:品目判断 → 保管基準 → 業者選定・許可確認
  2. 出すとき:書面契約 → マニフェスト交付
  3. 出した後:返送照合 → 5年保存 → 年次報告 → 実地確認

それぞれの詳細は処理の流れから各記事へ進んでください。


参照法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)

よくある質問

廃棄物処理法とはどんな法律ですか?

正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(略称:廃掃法)で、1970年に制定された廃棄物処理の基本法です。廃棄物の定義・分類、処理責任の所在、処理基準、委託ルール、マニフェスト制度、処理業の許可制度、罰則までを一体で定めています。

排出事業者が最低限守るべき義務は何ですか?

①保管基準に従った保管、②許可業者への書面契約による委託(委託基準)、③マニフェストの交付・照合・保存、④処理状況の確認、の4つが柱です。どれか一つでも欠けると行政指導や罰則の対象になり得ます。

廃棄物処理法はよく改正されますか?

はい。不法投棄事件や社会情勢を受けて数年おきに改正されてきました。近年では電子マニフェストの一部義務化、雑品スクラップ対策、水銀廃棄物の規制強化などが追加されています。実務担当者は改正動向の確認が欠かせません。

本記事は2026-07-16時点の法令・公開情報にもとづく一般的な解説です。個別の判断は、管轄の都道府県・政令市または専門家(行政書士・弁護士等)にご確認ください。