自社の産業廃棄物を自社の車で運ぶ「自社運搬」に、収集運搬業の許可は不要です。ただし、車両への表示と書面の携帯が法律で義務付けられています(法第12条第1項、施行規則第7条の2の2)。
「許可が要らない=何もしなくていい」ではありません。表示のない運搬は運搬基準違反として行政指導・改善命令の対象になります。
車両表示のルール
運搬車の車体の両側面に、見やすいように次を表示します。
| 表示項目 | サイズの基準 |
|---|---|
| 「産業廃棄物収集運搬車」の文字 | 140ポイント以上(約5cm角) |
| 排出事業者の氏名または名称 | 90ポイント以上(約3cm角) |
- ペイント、ステッカー、マグネットシートいずれも可(運搬中に脱落・判読不能にならないこと)
- 許可業者の場合はこれに加えて許可番号の表示が必要ですが、自社運搬では不要です
携帯する書面
自社運搬では、次の事項を記載した書面を車両に備え付けます。
- 氏名または名称・住所
- 運搬する産業廃棄物の種類・数量
- 積載日、積載した事業場の名称・所在地・連絡先
- 運搬先の事業場の名称・所在地・連絡先
社内様式で構いません。マニフェストを交付して自社処理施設へ運ぶケースでは、マニフェストの携帯で書面を兼ねる運用もあります(自治体の指導に従ってください)。
運搬そのものの基準
- 廃棄物の飛散・流出、悪臭・騒音・振動による生活環境保全上の支障を生じさせない
- 石綿含有産業廃棄物は、破砕せず、他の廃棄物と混合しないなどの上乗せ基準
シートを掛けずにがれきや廃プラを平積みで運ぶと、飛散防止義務違反を問われるおそれがあります。
「自社運搬」にならないケースに注意
| ケース | 扱い |
|---|---|
| 自社工場のごみを自社車両で自社倉庫へ | 自社運搬(許可不要) |
| 子会社・グループ会社のごみを運ぶ | 他人のごみ=許可が必要 |
| 建設工事で下請けが元請のごみを運ぶ | 原則、他人のごみ=許可が必要(例外規定あり) |
| リース会社所有の設備を撤去して運ぶ | 排出事業者が誰かの整理が必要。契約関係で判断 |
特に建設業では「元請が排出事業者」のため、下請けが現場のごみを運ぶ行為は原則として許可が必要です(少量・同一県内などの限定的な例外があります)。詳しくは排出事業者責任の解説をご覧ください。
まとめ
- 自社運搬は許可不要、ただし表示と書面携帯が義務
- 表示は両側面、「産業廃棄物収集運搬車」140pt以上+事業者名90pt以上
- グループ会社・下請けのごみを運ぶのは自社運搬ではない
- 飛散・流出防止などの運搬基準は許可業者と同様に適用
参照法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条第1項、同法施行令 第6条第1項第1号、同法施行規則 第7条の2の2
よくある質問
自社のごみを自社のトラックで運ぶのに許可は必要ですか?
不要です。排出事業者が自らの産業廃棄物を運搬する「自社運搬」には収集運搬業の許可は要りません。ただし車両表示と書面携帯などの運搬基準は守る必要があります。
グループ会社(子会社)の廃棄物を親会社が運ぶのは自社運搬になりますか?
なりません。法人格が別であれば「他人の廃棄物」の運搬にあたり、収集運搬業の許可が必要です。グループ会社間でも許可なく運ぶと無許可営業になるおそれがあります。
車両表示はマグネットシートでもよいですか?
構いません。着脱式のマグネットシートでも、運搬中に見やすく表示されていれば問題ありません。文字サイズの基準(「産業廃棄物収集運搬車」140ポイント以上、氏名・名称90ポイント以上)を満たすものを選んでください。
本記事は2026-07-12時点の法令・公開情報にもとづく一般的な解説です。個別の判断は、管轄の都道府県・政令市または専門家(行政書士・弁護士等)にご確認ください。